ドイツBMW社は2016年7月、報道陣向けのイベント「Innovation Days 2016」を開催し、電気自動車(EV)「i3」の新しい電池をはじめとした電動化技術、内燃機関の新パワートレーンについて発表した。

 BMW社は、2013年に電動車に特化した「i」ブランドを立ち上げ、量販EVの「i3」とスポーツカーのプラグインハイブリッド車(PHEV)である「i8」を発表した。i3は、2016年4月に世界で4500台まで販売台数を伸ばしている。

 今回、EVおよびレンジエクステンダー付きEVのi3に、電池の容量を増やしたモデルを追加導入し、EVではNEDC(新欧州ドライビングサイクル)モードにおける航続距離をこれまでの190kmから300kmに伸ばした(図1)。この新モデル投入後、i3は欧州だけで7000台の受注を獲得したという。

図1 電池容量を増やした「i3」
図1 電池容量を増やした「i3」
電池容量を33kWhに増やしたモデルを投入し、NEDCモードのEV走行距離を300kmまで伸ばした。モーターによる鋭い加速と、アクセルペダルを離すとエネルギー回生に伴う高い減速Gを発生するのが特徴。
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 NEDCモードではエアコンを使用せず走行速度も比較的低いため、実走行での航続距離は7割程度に落ちる。最初のi3は実走行で百数十kmしか走れなかった。一方、新しいi3は実走行でも200km以上を走れるとする。

 電池容量はこれまでの22kWhから33kWhになった。これまでと同じ韓国Samsung SDI社製リチウムイオン電池を使いながら、生産プロセスを改良し、活物質の量を増やした第2世代のセルを採用している(図2)。バッテリーパックの体積は従来の22kWhモデルと同じながら、容量は1.5倍に増やすことができた。電池容量が80%になるまでの充電時間は、コンボコネクターの急速充電を使った場合で40分、普通充電では3時間となる。

図2 活物質を増やしてセルの容量を高めた
図2 活物質を増やしてセルの容量を高めた
Samsung SDI社製であることは同じだが、セルの電流容量は従来から大幅に増えて94Ahとなっている。
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 33kWhモデルは22kWhモデルと併売するほか、従来のクルマを保有するユーザーが、33kWhの電池に交換するアップグレードも可能だ。i3には、エンジンで発電することで航続距離を伸ばせるレンジエクステンダー付きがあるが、新モデルにも1200ユーロ(約13万5000円)高で用意する。