内閣府SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)は2015年9月に開催した報告会で、自動運転実現に向けた各国政府機関の取り組みを紹介した(表)。実証実験のための環境整備や、事故が起きた場合の責任の所在を明らかにする議論が進展している。

表 自動運転に向けた政府機関の最近の取り組み
表 自動運転に向けた政府機関の最近の取り組み
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 米国では、運輸省(DOT)の道路交通安全局(NHTSA)が自動運転に向けた議論や環境整備を推進している。先進国の中で特に交通事故の割合が高い同国では、事故低減を意識した技術開発を中心に進めている。さらにセキュリティー分野での取り組みが進んでいるのも特徴だ。

 電子制御による自動運転が実現すると、外部からのハッキング攻撃が重大な脅威になる。自動車業界全体が協力して対応していくことが求められることから、クルマへのハッキング攻撃の事例を共有化する組織「Auto ISAC」を2015年7月に設立した。実際に米国では同月、米Chrysler社が販売するJeep「チェロキー」の通信システムに脆弱性が見つかり、リコール問題に発展するなど問題となった(関連記事)。