ドイツZF社は、コンセプト車「Vision Zero Vehicle」を開発した(図1)。交通事故ゼロ、排ガスゼロの実現を目指す同社が、研究開発中の技術を搭載して実現したもの。運転者の不注意による事故や高速道路での逆走を防止する技術などを搭載した。
運転者の不注意による事故を防止したい──。そのためにZF社が同コンセプト車に搭載したのが、「Driver Distraction Assist」という技術だ。
同社によれば、ドイツAllianz Zentrum fur Technik社が実施した調査結果では、死亡事故の約1割が運転者の不注意によるもの。2016年のドイツの統計でも、運転者の不注意による死亡事故が350件と、飲酒運転による死亡事故を94件上回っているという。さらに米国では、運転者の不注意に起因する死亡事故が2015年には3477件も発生。運転者の不注意による事故をいかに防ぐかは、将来のクルマづくりにおける重要な課題の一つとされる。
そこでZF社は、学習能力を備えたレーザー測距式の車内カメラを使って運転者の不注意を監視する技術を開発した(図2)。バックミラーの横に同カメラを運転者に向けて配し、運転者の頭部の位置を3次元画像で監視して、道路から目をそらすなど運転者の状態を把握する。そして危険な状態と判断した場合は、ディスプレーへの表示や音声、シートベルトの振動によってシステムが運転者に警告する(図3)。それでも運転者が反応しない場合は、さらにシステムが安全な場所に車両を移動させ停止させる(図4)。