ホンダは2017年9月に、背高ワゴンタイプの軽自動車「N-BOX」を全面改良して発売した(図1)。同社の軽自動車として初めて、先進運転支援システム「Honda SENSING」を全車種に標準搭載した。従来の8機能に「後退時の誤発進抑制」と「オートハイビーム」の2機能を追加した。オートハイビームは、専用の単眼カメラを使わずに実現した。

図1 新型軽自動車「N-BOX」
図1 新型軽自動車「N-BOX」
2代目となる新型車は、「Honda SENSING」を標準搭載して予防安全性能を高めた。
[画像のクリックで拡大表示]

 新型N-BOXに搭載した先進運転支援システムは、運転席側のフロントグリル内に搭載した77GHz帯のミリ波レーダーと、フロントウインドー上部の室内側に取り付けた単眼カメラで、先行車や対向車、歩行者などを検知する(図2)。提供する基本機能は(1)歩行者対応の自動ブレーキ、(2)前進時の誤発進抑制、(3)歩行者事故低減ステアリング支援、(4)車線逸脱抑制支援、(5)先行車追従、(6)車線維持支援、(7)先行車発進通知、(8)標識認識──の八つである。

図2 センサーの種類と搭載位置
図2 センサーの種類と搭載位置
フロントグリルのミリ波レーダーと、フロントウインドーの室内側の単眼カメラを使って、基本の8機能とオートハイビームを提供する。リアバンパーに取り付けた超音波センサーは、後退時の誤発進抑制に使う。
[画像のクリックで拡大表示]

 新型車ではこれらの基本8機能に、「後退時の誤発進抑制」と「オートハイビーム」の2機能を追加した。このうちオートハイビームでは、フロントウインドーの単眼カメラを使う。先行車のテールランプや対向車のヘッドランプを単眼カメラで検知して、ハイビームとロービームを自動で切り換える。ハイビームで走行中にロービームに切り替えるだけでなく、ロービームで走行中に前方に車両がいなくなると、ハイビームに切り替わる。

 専用の単眼カメラを使う従来システムと異なり、新型車では専用カメラは追加せず、Honda SENSING用の単眼カメラとECU(電子制御ユニット)を使って、オートハイビームの機能を実現したのが特徴だ。Honda SENSING用の単眼カメラとECUをオートハイビームの制御に使うと、ECUの処理負荷が重くなり、同システムの基本8機能に悪影響を与える恐れがある。