ドイツAudi社が「レベル3」の自動運転機能を開発し、旗艦セダン「A8」に搭載する(図1)。自動運転中の事故の責任をメーカーが負うリスクを果敢に取って、Audi社が自動運転時代の先駆者たることを示した車両だ。「レベル2」の車両と異なり3次元レーザースキャナー(LiDAR)採用し、事故のリスクを抑え込む。

図1 「A8L」の外観
図1 「A8L」の外観
全長5170mmの標準車A8よりホイールベースが130mm長いA8L。
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 2018年以降に、レベル3の自動運転機能「AI traffic jam pilot」をオプションで発売する計画だ。まずはドイツに限定する。A8の発売自体は2017年秋を予定する。同年内の購入者がレベル3の機能を後から追加できるのかは「未定」(Audi社)である。2017年9月頃に詳細を明かす。

 米Tesla社が、レベル3の自動運転機能を近く導入することを示唆していた。どちらが「世界初」の量産車の称号を勝ち取るのか予断を許さないが、発表ではAudi社が先んじた格好だ。

 ドイツが国を挙げてTesla社に勝ることを後押しした。2017年5月に、ドイツ議会が同国の道路交通法の改正案を可決。自動化した車両の運転者がステアリングホイールから手を離し、他の作業をすることを法的に認めた。

 A8のレベル3は、中央分離帯のある自動車専用道路の同一車線を60km/h以下で走るときに、運転者に代わって運転操作を引き受けるもの。インパネ中央の「AIボタン」を押すと、レベル3の機能が作動する。

 同機能が作動している間は発進と加減速、操舵を自動で制御し、「運転者は注意して見守っている必要はない」(Audi社)。ステアリングホイールから手を離して車載モニター上でテレビを閲覧することを許し、作動中の事故の責任をAudi社が負う。