ジェイテクトは、MT(手動変速機)車の燃費性能を高めることを目的とした電動油圧クラッチを開発した。高速道路を定速走行する状況で、クラッチでエンジンを切り離すことができるようになった。MT車のシェアが高い欧州で、自動車メーカーのCO2規制対策に向けて採用を狙う。

 欧州の自動車メーカーは2021年から実施されるCO2規制に対応するため、MT車の燃費を改善することが重要な課題となっている。MT車はアクセルを踏まずに走行する場合、AT(自動変速機)車や自動MT車と比べてすぐに減速してしまう。エンジンと変速機がクラッチでつながっており、エンジンブレーキが働くためだ。

 AT車や自動MT車では、アクセルを踏まなくても速度を維持できる場合、動力源と駆動輪を自動で切り離して抵抗を減らす“コースティング”と呼ぶ機能を搭載している。MT車はこの機能に対応していないため、燃費改善に限界があった。

 欧州や新興国では依然として価格が安く、手動でシフト操作するMT車の需要が高い(表)。一般に、MT車は、自動MT車と比べて価格に数万~10万円程度の差がある。調査会社の米IHS Automotiveによれば、欧州市場の新車の約半数がMT車で占められているという。自動車メーカーがMT車の燃費を向上させるには、安価なシステムを開発する必要があった。

表 MTの変速機構の種類と特徴
表 MTの変速機構の種類と特徴
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