東レは、従来のGFRP(ガラス繊維強化樹脂)よりも約60%軽く、同等の曲げ弾性率を持つCFRP(炭素繊維強化樹脂)を開発した。発泡樹脂のような多孔質構造にして、軽さと高剛性を両立した。GFRP用の一般的なプレス成形機を用いて、フロアパネルなどの自動車部品を造れる(図1)。

図1 多孔質CFRPの試作品
図1 多孔質CFRPの試作品
通常のGFRP用のプレス成形機を使って、5分程度で大型部品を一体成形できる。
[画像のクリックで拡大表示]

 開発した材料を同社は、「CFRF(Carbon Fiber Reinforced Form:炭素繊維強化発泡樹脂)」と呼ぶ。代表的な発泡樹脂である発泡ポリプロピレン(PP)は比重が0.3~0.4と軽いが、曲げ弾性率が0.1GPa程度と、剛性が低い。そのため自動車分野では、高い強度や剛性が求められない内装材や防音材、遮音材などに使われている。

 また、自動車部品に使うGFRP(マトリックス樹脂がPPの場合)は比重が1.2程度であり、ガラス繊維を20体積%混ぜたときの曲げ弾性率は約6GPaである。これに対して、同社が開発した材料は発泡PPと同等の低比重(0.3~0.4)でありながら、PPをマトリックス樹脂とするGFRPと同等の曲げ弾性率(6GPa)を実現した。