マツダは、エンジン制御でシャシー性能を高める新技術「G-VECTORINGCONTROL(GVC)」を開発した。ステアリングの操作に応じてエンジントルクを制御することにより、車両の応答性や乗り心地を向上させる技術である。

 同社は「SKYACTIV-Vehicle Dynamics」と呼ぶ車両制御技術の開発を進めている。「エンジンや変速機、ボディー、シャシーなどを統合制御する」というコンセプトに基づき、車両の走行性能を高めることを目指した技術群である。今回のGVCは、その第1弾となる技術だ。神奈川工科大学教授の山門誠氏の研究室、日立オートモティブシステムズと共同で開発した。

 クルマの運転でカーブを曲がるとき、ステアリングを切り始めるのと同時にアクセルを少し緩めると車両の旋回性能が向上する。アクセルを緩めるとエンジントルクが下がって車両が前傾姿勢となって前輪の接地荷重が増えるからだ。接地荷重が増えることで前輪のグリップ力(路面との間の摩擦力)が高まり、ステアリングの動きに対する車両の応答性が向上する。

 逆にカーブの出口近くでアクセルを少し踏むと、荷重が後輪に移動して後輪のグリップ力が増加。直進しようとする後輪の駆動力が増して車両の姿勢が安定し、カーブの脱出がスムーズになる。運転が上手な人は、こうした一連の荷重移動を無意識のうちに実行している。