トヨタ自動車は「レクサス」ブランドの最上位クーペ「LC500」と、ハイブリッド車(HEV)「LC500h」の生産ラインを公開した。今回公開したのは最終組立工程と検査工程である。
元町工場(豊田市)にある専用生産ラインに入った際の第一印象は、こじんまりとした、綺麗なスペース。とは言え、広さは約1万m2ある。特徴的なのは、天井から吊るされた、いわゆる“吊りモノ”が少ないことだ。空調のダクトや、電装品の配線などを天井部分からなくして、すっきりとした空間を演出している。
内部に入ると、工場の出入り口を背にして左側に、塗装を終えたボディーが10台ほど横に並んでいる(図1)。その最前列から縦方向の組立ラインになり、6台が作業をしていた(図2)。最初の5台の作業は床面がゆっくりと動くラインで、車体が上下する仕組みはない。ラインスピードは、毎秒5mmと極めて遅い。これによりタクトタイムは19.1分となり、トヨタが生産する一般的なモデルの1分間と比べて20倍近い。つまり、1人の作業者が数十の工程を受け持っているのだ。
この縦ラインの最後に、車体が2柱リフトでリフトアップされる工程がある。車体を持ち上げておき、その間に前後サスペンションとエンジン、変速機を車体の下から取り付ける。
ラインの奥側にそれらのサブ・アッセンブリー・ラインがある(図3)。エンジンは近隣の下山工場(みよし市)から、変速機はアイシン・エィ・ダブリュから、納入される。リフトから降ろされた後は、建屋の奥でラインがUターンし、帰りの縦ラインで内装部品やガラスなどを組み付けることになる(図4)。
その先が検査工程で、約400項目をチェックする。重要視しているのが、床下の状態のチェックだ。外部から見えない部分でも徹底した品質検査を心がけている。検査後に、工場敷地内の走行路で全車が検査を受け、再び検査場に戻って、ボディーへの跳ね石によるダメージなどをチェックする。
作業員数は組立工程に150人、検査工程に19人の合計169人である。平日の午前6時25分~午後3時15分と、午後4時10分〜午前1時の2直体制で働く。
組立・検査工程は、U字型になっており、工場奥で折り返す形である。この専用生産ラインで目に付いたのは、各工程に設置されたタブレットである(図5)。