欧州勢が48Vのマイルドハイブリッド車(HEV)の部品で攻勢をかけている。ドイツのBosch社やContinental社、Schaeffler社、フランスValeo社、などが対応部品を開発し、量産車に採用する事例も出てきた。2017年5月に開催した「人とくるまのテクノロジー展」で最新動向を探った。

 Bosch社は、48V駆動のBSG(ベルト駆動スターター兼オルタネーター)とリチウムイオン電池を出展した(図1)。

図1 ドイツBosch社が展示した48V対応部品
図1 ドイツBosch社が展示した48V対応部品
(a)BSG(ベルト駆動スターター兼オルタネーター)。(b)リチウムイオン電池。
[画像のクリックで拡大表示]

 ドイツDaimler社が2017年に部分改良する「Sクラス」で、Bosch社製のBSGを採用することが決まった。BSGはBosch社のスペイン工場で生産し、欧州と中国市場に供給する。BSGの大きさは径が148mmで長さは169mm。出力は12kWである。ただ、SクラスがBSGに組み合わせるリチウムイオン電池はBosch社以外になるという。

 Bosch社はリチウムイオン電池を2018年に中国で量産車向けに生産を始める計画だ。欧州市場向けには中国から輸出する。電池パックの大きさは縦300×横175×高さ90mm、質量は7kg。出力は11kWである。正極材は3元系(ニッケル・マンガン・コバルト)で、負極材は炭素(グラファイト)だ。

 Bosch社はスターターモーター・オルタネーター事業の売却を決めており、将来は新しい事業者が48VのBSGを供給することになる。

 Continental社は、48V対応のBSGを出展した(図2)。フランスRenault社が2016年に発売したMPV(多目的車)「Scenic」で、Continental社のBSGを最初に採用した。永久磁石を使わない誘導モーターを採用したのが特徴。水冷とすることで、きょう体を小さくした。

図2 ドイツContinental社の48V対応BSG
図2 ドイツContinental社の48V対応BSG
フランスRenault社に供給している。
[画像のクリックで拡大表示]

 Valeo社は、電動スーパーチャージャーと電動リアアクスルを展示した(図3)。電動スーパーチャージャーは、モーターで過給圧を高められるようにしたもので、ドイツAudi社が2016年に発売した「SQ7」で採用した。電動リアアクスルは、後輪を電気駆動するためのもの。モーターにリアデファレンシャルを組み合わせた。FF(前部エンジン・前輪駆動)車の後輪に組み合わせることで、ハイブリッド車(HEV)に仕上げたり、電気自動車(EV)走行を可能にする。

図3 フランスValeo社が展示した48V対応部品
図3 フランスValeo社が展示した48V対応部品
(a)電動スーパーチャージャー。(b)モーターとデファレンシャルを組み合わせた電動リアアクスル。
[画像のクリックで拡大表示]