ルネサスエレクトロニクスは同社が得意とする車両制御の分野から、見る(センシング)、考える(コグニティブ)といった自動運転の本丸の領域に切り込む。画像認識を低電力で実現できる独自の半導体技術で勝負する。2017年4月に開催したプライベート展「Renesas DevCon Japan 2017」で明らかにした。

 「センシングやコグニティブ、車両制御までエンド・ツー・エンドで自動運転に必要な技術をすべて提供する」。ルネサスの車載事業の責任者である大村隆司氏(執行役員常務兼第一ソリューション事業本部長)は、今回の展示会の基調講演でこのように述べた(図1)。

図1 センシングやコグニティブ、車両制御まで幅広く提供
図1 センシングやコグニティブ、車両制御まで幅広く提供
(a)ルネサスは2017年4月11日にプライベート展「Renesas Dev Con Japan 2017」を開催した。(b)同社は車両制御に強みを持つが、今後はセンシングやコグニティブといった自動運転に必要な幅広い技術を総合的に提供できる体制を目指す。
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 同社は車両制御用のマイコンで強みを持つが、今後は車載カメラやレーダーなどのセンシング機能や、AI(人工知能)などのコグニティブ機能、クラウドとの連携に必要なセキュリティー機能などを強化する。自社だけでカバーし切れない部分は、他社との連携で対応する。そのためのパートナー組織「R-Car Consortium」には、国内外の200社以上が加盟しているという。

 センシングやコグニティブの領域では、米NVIDIA社や同Intel社などIT分野に強い海外の大手半導体メーカーが激しい開発競争を繰り広げているが、大村氏は「負けない」と語る。特にセンシングの領域では、多くの受注を獲得しているという。2016年4~12月に獲得した新規商談(LTV:Life Time Value)は約6500億円で、このうち約2000億円が車載カメラ用やレーダー用の半導体製品という。車載カメラ用は海外メーカー3社、レーダー用は国内メーカー1社が採用し、2019年から量産する。