日立製作所と本田技術研究所は共同で、息を吹きかけるだけの小型アルコール検知器を試作した(図1)。運転者が酒気帯び状態であることを3秒以内で検知し、エンジンを始動できないようにする。両社は、飲酒運転による交通事故の防止に寄与できると見る。

図1 試作した小型アルコール検知器
図1 試作した小型アルコール検知器
息を吹きかけるだけで使え、3秒以内で測定できるのが特徴。
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 本田技術研究所によると、死亡事故に占める飲酒運転の割合は日本では約11%にとどまるが、米国では約39%、欧州では30~40%と高い。米国ではNHTSA(米運輸省道路安全局)主導で、運転者の飲酒を検知するとエンジンを始動できなくするシステムを一般車に搭載する検討が進んでいる。欧州でも北欧を中心に、同システムの搭載を義務化する方向にあるという。

 こうした状況を受けて両社は、今回の検知器を試作した。同検知器には、人間の呼気に含まれる飽和水蒸気を検知するセンサーを搭載した。絶縁性セラミックスを電極(縦5×横5mm)で挟んだ構造をしており、息を吹きかけると呼気中の水蒸気が絶縁性のセラミックスに吸着され電極間に流れる電流が変化する。

 この現象を利用して、人間の呼気かどうかを数秒で検知する。従来の検知器に比べて感度を10倍に向上させた。検知器に空気などを送り込んでも信号強度がしきい値に到達しないため、呼気と判断しない。これにより不正利用を防止できる。検知器の大きさは、マウスピースを使った従来の車載型検知器の1/50に小型化した。