電動車両の心臓部であるリチウムイオン電池(LIB)。この市場で、韓国の電池メーカーの存在感が際立ってきた。LG Chem社は、2020年には年間50GWhものLIBを生産する計画を表明した。旺盛な需要を支えるのは中国市場だ。Samsung SDI社は、1回の充電で600km走行できる電気自動車(EV)用のLIBの開発を進める。量と質の両面で攻めに出る。

 「2015年から年平均成長率(CAGR)20%のペースでLIBの生産量を増やし、2020年には50GWh超に高める」──。こう語るのは、LG Chem社で自動車向けLIBの開発を指揮するMyung Hwan Kim氏(同社Battery R&D,President)だ。LG Chem社の2015年におけるLIB生産量は20GWhで、わずか5年で2.5倍にするという(図1)。この数字は、米Tesla Motors社がパナソニックなどと組んで建設を進めている巨大電池工場「Gigafactory」の年間生産能力の35GWhを軽く上回る。

図1 2020年には年間50GWh超を生産へ
図1 2020年には年間50GWh超を生産へ
LG Chem社のリチウムイオン電池の生産計画。2017年ごろには、自動車/定置用の大型電池の生産量が、携帯機器向けを抜く見込みである。
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 LG Chem社は、自動車/定置用の大型電池と携帯機器用の小型電池を生産している。今のところ小型電池の生産量が多いが、「電動車両向けLIBの需要は旺盛で、2017年ごろには大型電池の生産量が上回る」(同氏)見込みだ。

 同社は現在、韓国と中国、米国に工場を持つ。生産量の増加に合わせて、「2017年に竣工するスケジュールで、欧州で工場建設を計画している」(同氏)という。ポーランドなどが候補に挙がっているとみられる。