日経BP社と海外産業人材育成協会(HIDA)などは、2016年3月中旬にインド・チェンナイで、「アジアものづくりカンファレンス」を開催した。インドは、世界の開発・生産拠点を目指している。フランスRenault社・日産自動車グループの開発会社、ローム、オムロンなどが講演した。

 ルノーと日産のグローバルの開発拠点であるインドRNTBCI(Renault Nissan Technology & Business Centre India)社。インドで車両を開発する意義について、同社上級副社長の橋本尚史氏は、「インド人は英語を話し海外とコミュニケーションがとりやすい、コンピューターを使う設計のスキルも高い」と述べる。

 橋本氏は、日産がインドで2014年3月に発売した低価格ハッチバック車「Datsun GO」を紹介した(図1)。小型車向け「Vプラットフォーム」を使う「Micra」の設計データを生かして設計した。

図1 日産自動車の低価格車「Datsun GO」
図1 日産自動車の低価格車「Datsun GO」
ルノーと日産自動車が協力して設計した成果の一つ。小型車「Micra」のプラットフォームをベースに開発した。
[画像のクリックで拡大表示]
図2 ロームLSI商品開発本部車載戦略部部長の末永良明氏
図2 ロームLSI商品開発本部車載戦略部部長の末永良明氏
「車載向けSiC(炭化ケイ素)モジュールの採用が世界的に始まった」
[画像のクリックで拡大表示]

 ロームLSI商品開発本部車載戦略部部長の末永良明氏は、次世代パワーエレクトロニクスの動向について「車載SiC(炭化ケイ素)モジュールの採用が世界で進みつつある」と述べた(図2)。日本で発売されているプラグインハイブリッド車(PHEV)の急速充電用車載充電器が代表例である。PHEVは、エンジンや駆動用モーターなど多くの追加部品を搭載する必要があり、「エンジン車に比べて搭載スペースが限られる」(末永氏)のが最大の理由。SiCモジュールは、従来のSi(シリコン)のIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスター)モジュールに比べて、スイッチング損失を3割程度にできるため小型化できる。インドでは今後、クルマの電動化が進むと見られ、パワー半導体の需要拡大が期待できる。