2030年の米国の自動車販売台数は、2016年に比べて自家用セダンが約6割減り、その分はカーシェアリングや配車・相乗りサービスといったモビリティーサービス用の完全自動運転車に置き換わる(図1)。今後は都市ごとに異なる利用形態を反映した自動運転車の開発が重要になる──。こんな予測を披露したのが、オランダの会計・コンサルティング大手KPMG社だ。
米国における乗用車の総走行距離は平均年率1.8%で増え、増加分はモビリティーサービスによる走行距離で占められると予測する(図2)。都市部で同サービスが容易に利用可能となることで自家用車の販売が減少し、その分、同サービス用のクルマの販売が増えると見るからだ(図3)。自家用車のうち特に販売台数が減るのはセダンになる。加えてKPMG社は、2033年ごろには米国で所有用に販売される新車(乗用車)は全て、レベル3以上の自動運転車になるとも予測する。
KPMG社が、クルマの利用形態を都市ごとに把握するのが重要と考えるのは、(1)クルマの利用形態が都市によって大きく異なり、(2)モビリティーサービスでは移動(トリップ)ごとに目的に適したクルマを利用者が選ぶようになる──と見ているためだ。
同社PrincipalのThomas Mayor氏は、ビジネスパーソンによる昼間の郊外への移動では車内で仕事が可能な“移動オフィス”のようなクルマ、近距離の短時間の移動では機動性が高く乗り降りしやすいパーソナルモビリティー、夜間の仕事以外での移動ではスペースが広く快適性が高いエンターテインメントシステムなどを搭載した“移動リビングルーム”のようなクルマが求められるようになると説明する。
Mayor氏は、利用形態の違いを反映したクルマがモビリティーサービスの比率が高まる10年後くらいから広がり始めると予測している。