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日経ものづくり 2017年11月号

トヨタ流人づくり あなたの悩みに答えます

第41回:大きな変革を乗り越えるには

  • 肌附安明=HY人財育成研究所 所長
  • 2017/10/31 00:00
  • 1/3ページ

出典:日経ものづくり、2017年11月号、pp.80-83(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

「トヨタ流人づくり 実践編 あなたの悩みに答えます」では、日本メーカーの管理者が抱える悩みに関して、トヨタ自動車流の解決方法を回答します。回答者は、同社で長年生産技術部門の管理者として多数のメンバーを導き、その後、全社を対象とする人材育成業務にも携わった経歴を持つ肌附安明氏。自身の経験はもちろん、優れた管理手腕を発揮した他の管理者の事例を盛り込みながら、トヨタ流のマネジメント方法を紹介します。
悩み
フランスと英国が近い将来に、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載したクルマ(エンジン車)の販売を禁止する方針を発表しました。今の日本の自動車産業はエンジン車を基盤に構成されていると言っても過言ではありません。エンジンの部品を造っている企業の中には、事業転換の必要に迫られるところが出てくるかもしれません。変革を乗り越えるヒントを教えてください。

編集部:「エンジン2040年問題」が急浮上しました。フランスと英国が2040年までにエンジン車の販売を禁止するという方針を打ち出したからです。これで世界の市場が一気に電気自動車(EV)に傾くとか、いやいやエンジン車を全面的に禁止することは現実的ではないとか、いろいろな意見が世間をにぎわせています。トヨタ自動車も2015年に「2050年にはエンジン車の新車販売をほぼゼロにする」と発表しています。自動車産業の将来予測も手掛けてきた肌附さんは、この問題をどうみていますか。

肌附氏-エンジン車がゼロになることはないでしょう。私は、10年後に世界の自動車市場はざっと7~8割がエンジン車(ハイブリッド車やプラグインハイブリッド車を含む)で、2~3割がEVの構成になるとみています。それ以降はより技術が進歩してEV、そして燃料電池車(FCV)の割合がもっと増えるかもしれません。

 一部には「将来のクルマはEV以外にない。エンジン車は終焉を迎える」といった主張もありますが、さすがにそれは極端過ぎると思います。現状の交通・道路インフラはエンジン車をベースに造られています。クルマの全てをEVにするというなら、これをEV向けに改造したり新設したりする必要があり、当然、相当なコストや時間がかかります。急速充電器を含めた充電インフラをどうするのか。他にも、2次電池の劣化による走行距離の低下を顧客に受け入れてもらえるのか。発電エネルギーを何で得るのか。そもそも電池メーカーは十分な量の2次電池を供給できるのかなど、エンジン車からEVに完全に切り替えるためには、乗り越えなければならない課題はいくつもあるはずです。これらの課題の解決は一筋縄ではいかないことでしょう。

 一方で、既に1回の満充電で航続距離が400kmのEVも販売されています。現行の純粋なエンジン車(エンジンだけを搭載したクルマ)と遜色のない水準である500kmまであともう少し。500kmに近づくほど、これまでEVを購入する際の大きな障害になっていた「航続距離の不安」を解消できます。自動車メーカー間の競争により、航続距離はどんどん延びていくことでしょう。

 世間の多くは、クルマのパワートレーンの主流がどうなるかを知りたがっています。しかし、エンジン車とEVの比率がどのように変化するかを予測する以上に大切なことがあります。

編集部:それは何でしょうか。

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