編集部:日本企業の強さの1つとして、よくチームワークの良さが挙げられます。確かにその通りだとは思いますが、個々の社員の能力が高まれば、さらにチームの力は増すことでしょう。そこで、この課長の方は能力主義の考え方を導入し、部下に発破を掛けて能力向上を促した、というわけですね。実力が不十分な点に関して部下に気づきを与え、改善を促進している優秀な管理者のようにも感じますが…。
肌附氏— 部下との関係において最も大切にすべきことは、部下との間で良好なコミュニケーションを構築することです。では、そのために管理者として何を心掛けるべきでしょうか。
編集部:うーん…。考えたことがありませんでした。例えば、飲み会などに誘って親睦を深めたりすることでしょうか?
肌附氏— 部下の心をつかむ、ということです。トヨタ自動車の管理者の多くが、このことにとても注意を払っています。飲み会でも社内イベントでも仕事でも、機会は何でも構いません。しかし、そこに部下の心をつかむ管理者の言動がなければ、管理者と部下との間で良好なコミュニケーションを構築することなどできないでしょう。
能力主義を導入すること自体は間違ってはいません。個々の部下の能力をきちんと把握することも、管理者として正しい行動です。
編集部:では、何が原因なのでしょうか。