インドと日本が中心のスズキ。販売は増えるが、目標に達しそうにない。インドは競争が激しくなる。日本は市場全体が落ち込む。ASEAN(東南アジア諸国連合)は出遅れた。今後はトヨタ自動車との提携にかかる。 (本誌)

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 スズキの現状は安定している。2016年度通期の世界販売台数は同社が見込む通り、前年同期に比べて1%弱増えて、290万台に達すると予測する(図1)。

図1 販売台数は増えるが目標に達しない
図1 販売台数は増えるが目標に達しない
2019年度の世界販売台数で340万台を目指すが、310万台程度にとどまる見込みだ。2015年度までは実績値、2016年度以降はIHS Markit Automotiveの予測。
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 ただし、今後は不透明だ。2015年に発表した中期計画の達成は、販売と技術の両面で厳しいとみる。スズキは、2019年度の世界販売台数で340万台を目指す。だが、目標に達しない公算だ。世界販売の8割を占めるインドと日本で、目論見通りに販売が増えない。インドは、世界の自動車メーカーが参入して競争が激しくなっている。日本は自動車市場自体が縮小する。

 販売面でスズキにとって重要になるのが、ASEANで販売台数を増やすことである。販売が急増するSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)市場に早く参入しなければならない。

 中期計画で柱とした新しい技術への対応については、トヨタとの提携がカギを握る。内容はまだ見えないが、スズキがインドで長年かけて構築した部品調達体制をトヨタグループと共有した上で、電動化技術と自動運転技術でトヨタの協力を仰ぐ仕組みの構築まで踏み込めれば、スズキにとって実質的な果実を得られたと言えるだろう。