苦戦が続くPSAグループ。新しいトップに元日産自動車のCarlos Tavares氏が就任して以来、2年弱が経った。手を打つ方向は正しいが、しばらく耐える時期が続く。(本誌)

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 2008年以降、欧州危機の長い余波で苦戦し続けているPSA Peugeot Citroenグループ。いまだに成長軌道に乗れない。2014年には、世界販売台数が前年に比べて4.3%増えて294万台に達した(図1)。復活したかに思えたが、2015年は10月までの累計販売で前年同期比0.7%減だ。再び下降傾向に転じた。原因は新興国市場が落ち込んでいることである。南米中心のラテンアメリカ市場で同25%減、東欧などのユーラシア市場で同73%減と大きく減った。

図1 2020年までは耐える時期
図1 2020年までは耐える時期
PSAグループの自動車販売台数の見通し。2020年まではIHS Automotive、2021年以降はPSAグループの計画値を加味した予測。
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 復活の道筋をなかなか描けない中、2014年に発表した中期経営計画「Backin the race in 2014-2018」では、「フランスの伝統を受け継ぎ、収益性の高いグローバル自動車メーカーに再生する」との決意を示し、三つの目標を掲げた。

 第1に、「DS」ブランドの位置付けを明確にし、販売台数を増やしていくことだ。「Citroen」「Peugeot」ブランドとの差異化も重要になる。第2に、世界市場で利益を伴って成長すること。短期的には中国とイラン市場が重要になる。第3が、世界で販売する中核車種に経営資源を投入することである。新しいモジュールプラットフォームに刷新し、車種数を大幅に絞り込む。