マツダのブランド価値が大きく高まっている。技術と経営の両輪がかみ合い始めた。技術面では際立つ領域に力を集中。その技術力をてこに、経営面では選択と集中を実行する。目指すのはドイツ系高級ブランド。先は長いが、歩む道は正しい。(本誌)

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 自動車市場のシェアが2%にとどまるマツダの「ニッチ戦略」が功を奏している。2000年代前半の世界乗用車販売は、100万台程度。2015年に150万台超の販売に達した(図1)。小粒ながら際立つ自動車メーカーを目指す取り組みが、着実に進んでいる。

図1 マツダの世界販売台数の予測
図1 マツダの世界販売台数の予測
スカイアクティブ技術を投入した2011年以降に大きく成長した。その後、2017年から2020年ごろまで160万台近辺にとどまるが、2021年以降に再び成長軌道に乗りそうだ。
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 販売増加に大きく寄与したのが、2011年以降に投入した同社の技術群「SKYACTIV(スカイアクティブ)」だ。同技術を採用した「CX-5」以降に販売した車種が好調である。加えて、「Zoom-Zoom」と呼ぶブランドコンセプトで統一した考えを開発やデザイン、販売でぶれずに共有できている。その統一感で消費者の人気を博している。

 少ない経営資源を得意分野に注ぐ提携戦略も光る。米Ford Motor社との関係が薄れる中、新たに多くのメーカーと提携した。日産自動車とはミニバンの供給関係がある。いすゞ自動車からはピックアップトラック、スズキからは軽自動車のOEM供給を受ける。欧米FCA社にはスポーツ車を供給する。ハイブリッド車(HEV)は、トヨタ自動車と協力する。部品調達戦略も変え始めた。電装系部品を中心に、韓国からの調達を増やしている。