ホンダにとって今後の成長に不可欠なのが、成長市場の取り込み。技術のホンダの復活に向けて必要なのが環境対応車の先導役になることだ。同社はそれらをいかに実現しようとしているのか。現状と戦略を分析する。(本誌)

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 2015年のホンダの自動車生産台数は、前年比0.7%増の454万台にとどまった(図1)。北米、中国、アジアは成長を果たしたが、日本の販売不振が足を引っ張った。同台数は2020年に537万台、2030年に620万台と予測する。

図1 ホンダの世界の自動車生産台数の推移
図1 ホンダの世界の自動車生産台数の推移
2015年までは実績、2016年以降はHIS Automotiveの予測。
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 ホンダにとっての試練はまず、成熟化に向かう北米市場への依存度を下げることだ。そのカギを握るのが中国と南アジアである。中国では積極的な地域専用車の開発や同社の高級車ブランド「Acura」の現地生産によって販売増を狙う。南アジアでは、足元で需要が停滞しているものの、圧倒的なブランド力を背景に長期的には成長軌道に戻ることが期待される。南アジアでの地位をさらに強固にするためには、地域専用車を国別のニーズに合わせた開発へ深化させていく必要がある。

 また、技術のホンダが復活するために欠かせないのは、環境対応車の先導役になることだ。2030年に世界販売台数の2/3をゼロ・エミッション・ビークル(ZEV)に置き換えるという。主戦場は米国、中国、日本で、プラグインハイブリッド車(PHEV)を中心に燃料電池車(FCV)の可能性を探ることになるだろう。