トヨタ自動車の完全子会社となったダイハツ工業。トヨタグループの新興国向け小型車の開発を全て担う。いま最も力を注がねばならないのがインド向けの車両だ。大きく飛躍する好機を生かせるか。

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 ダイハツがトヨタの完全子会社になって5カ月後の2017年1月、2社は「新興国小型車カンパニー」を発足した(図1)。ダイハツは、トヨタグループの新興国向け小型車の開発と調達、生産を全て担っていく。

図1 ダイハツがトヨタの新興国向け小型車開発を全て担う
図1 ダイハツがトヨタの新興国向け小型車開発を全て担う
2社にまたがる「新興国小型車商品・事業企画部」が、新興国におけるダイハツとトヨタの両ブランドの車両ラインアップなどの企画を立案する。
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 日本とASEAN(東アジア諸国連合)にとどまる開発と生産体制は、世界に広がる。生産台数は、現状の150万台から300万台規模まで狙える位置につける。一方でトヨタは、自動運転や環境対応車などの分野に経営資源を集中できる。

 ダイハツにとって喫緊の命題が、インド市場の攻略だ。特に今後成長を期待できるコンパクトSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の開発が急務である。大分(中津)第二工場で培った低コストと低燃費を両立する生産技術をインドでも確立することが肝心だ。

 日本の軽自動車販売は好調。2016年は、2年連続で軽自動車販売台数トップを死守した。軽トールワゴン市場で高い商品力を実現した車種を投入した。トヨタや富士重工業へのOEM(相手先ブランドによる生産)供給を拡大し、生産面で規模の経済を享受している。ただ長期的に日本市場は低迷する。開発資源を絞る必要に迫られるだろう。