変速時に駆動力が途切れず、連続的な変速を実現できるCVT(無段変速機)。変速比幅(減速比の上限/下限)を大きくしやすいため、巡航時の燃費性能に優れる特徴がある。MT(手動変速機)やAT(自動変速機)との差異化を狙った進化の方向性も見えてきた。

 CVTは、変速操作を連続的に実現することを目指した変速機構である。一般的なCVTはベルト式と呼ばれるもので、プーリーとベルトから成る。ベルトの巻きかけ半径を変化させることにより、減速比を変える仕組みだ。ベルトがかかる位置は、プーリーの幅を変化させることで変えられる。

 CVTの発想自体は古く、20世紀の初頭には現在と同様の機構となる無段変速機が開発されている。だが、ベルトがゴム製だったため小型自動車やスクーター用の変速機として利用されるに留まっていた。その後、金属コマをスチールベルトで束ねたベルトが1970年代に考案され、高出力な乗用車にも搭載が可能になった。