クルマに関する次世代技術の一つであるネットワーク化の分野で、クラウド基盤との連携が重要になっている。自動車メーカーやメガサプライヤー、IT企業などからの参入が相次ぐクルマ向けクラウド基盤の特徴や有望なサービス、同基盤の普及の課題などについてボッシュが解説する。(本誌)

 クルマの電動化や自動運転化と並んで、ネットワーク化(コネクテッドカー)の動きが活発になっている。クルマをネットワーク化することにより、新たなサービスを生み出そうという取り組みである。ドイツBosch社と欧州のコンサルティング会社であるPrognos社が行った「2025年におけるコネクテッドカーによる効果に関する研究」によると、クルマのネットワーク化によって2025年には、次のような社会的メリットが生まれるという(図1)。

図1 クルマのネットワーク化による2025年の効果
図1 クルマのネットワーク化による2025年の効果
例えば、米国・ドイツ・中国の3カ国で26万件の事故を避けられ、米国だけでも交通事故による負傷者を29万人も減らせるという。
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(1)米国・ドイツ・中国の3カ国だけで26万件の交通事故を避けられ、米国だけでも交通事故による負傷者を29万人も減らせる

(2)最適なルート探索によって移動時間の短縮・最適化が可能になり、クルマからの二酸化炭素(CO2)排出量を40万t減らせる

(3)交通事故を避けることで、44億ユーロ(1ユーロ=130円換算で約5700億円)の物的損失を減らせる

(4)ネットワーク化による自動運転の実現で、運転者が走行中にステアリングホイールを握らないで済む時間が、1年間で2億8000万時間も増える

 交通事故の削減や環境負荷の低減は、重要な課題である。電動化や自動運転化もその解決に寄与するが、ネットワーク化は貢献度をより大きくできる。まず、「どのような道筋でクルマのネットワーク化が進むか」について見ていく。