2016年6月に日本や欧州で、カメラとディスプレーを用いた「電子ミラー」が解禁になった。現行のドアミラーやルームミラーに比べて死角が減り、夜間などの視認性の向上が期待できる。その仕組みや特徴、実用化に向けた今後の課題などについて、ヴァレオジャパンが解説する。(本誌)
2016年6月18日に、国際連合欧州経済委員会(UN/ECE)が定める後写鏡に関する規則「UN ECE-R46(United Nations Economic Commission for Europe Regulation 46)」(以下、R46)が改正された。これを受けて日本では国土交通省が同日に、「道路運送車両の保安基準」を改正した。その結果、R46を批准する欧州各国や日本で、カメラ・モニタリング・システム(以下、電子ミラー)が解禁になった。
電子ミラーとは、現在の鏡を使ったドアミラー(主車外後写鏡)やルームミラー(室内後写鏡)の機能を、カメラや液晶モニターといった電子デバイスを使って実現するものである(図1、図2)。現在のミラーに比べてクルマのデザインの自由度が高まる他、視認性の向上、燃費の改善、後側方の死角検知(BSD)などの利点がある。
こうした状況を受けて、世界の自動車メーカーは現在、電子ミラーの開発にしのぎを削っている。ただし、実用化に向けては、カメラや液晶モニターなどの電子技術の知識だけでなく、運転者への表示方法やカメラの洗浄機構、カメラハウジングや車内のインテリア、空調装備の検討など、いくつかの課題がある。