今回はドイツAudi社の二つの最新モデル「TT」「R8」のボディーにおけるマルチマテリアル化技術を紹介する。3代目となるTTは、Volkswagenグループの前輪駆動の小・中型車用プラットフォーム「MQB」(横置きエンジン車用モジュールマトリックス)を使いながら、アッパーボディーをアルミニウム(Al)合金としたことが特徴である。一方、2代目のR8は、Al合金を多用した「ASF(Audi Space Frame)」を採用した。新型ではCFRP(炭素繊維強化樹脂)を組み合わせたことが新しい。

「TT」はMQBベースにAl合金ボディー

 2015年8月に日本市場で発売された、3代目となるAudi社のスポーツクーペTTは、Volkswagenグループの「MQB」を採用している。MQBの場合プラットフォームは鋼板製であるが、TTでは軽量化を図るために、アッパーボディーをAl合金製とした(図1、図2)。この結果、先代に比べて車両全体で最大60kgの軽量化を実現したという。日本仕様の4輪駆動車「TTクーペ2.0TFSIクワトロ」では、従来1400kgだった車両質量が1370kgに軽くなった(表1)。

図1 Audi社「TT」のAl合金製ボディー
図1 Audi社「TT」のAl合金製ボディー
3代目は、Volkswagenグループが展開する「MQB」プラットフォームを採用した。これにAl合金製のアッパーボディーを組み合わせ、従来に比べ車両全体で最大60kgの軽量化を実現した。
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図2 「TTクーペ」
図2 「TTクーペ」
新型はクーペとロードスターの2種類がある。排気量2Lの直列4気筒ガソリン直噴ターボエンジンを搭載し、6速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)の「Sトロニック」を組み合わせる。駆動方式は、前輪駆動と4輪駆動がある。
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表1 「TTクーペ2.0TFSIクワトロ」の主要諸元
表1 「TTクーペ2.0TFSIクワトロ」の主要諸元
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