大胆なスタイリングや「プリウス」のSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)版などとして注目されたトヨタ自動車の「C-HR」。

 新世代プラットフォームである「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」の採用や改良したハイブリッド機構、小排気量ガソリン・ターボ・エンジンの搭載、欧州工場での生産など、注目点は多い。広島県立総合技術研究所、西部工業技術センター内のベンチマーキングセンターで行われた分解研究作業を基に報告する。

欧州市場を意識した設計

 トヨタはC-HRを、トヨタ自動車東日本の岩手工場と、トルコTMMT(Toyota Motor Manufacturing Turkey)で生産する。プリウスに続いてTNGAを採用したSUVである。トヨタがC-HRを世界戦略車と表現するのは、日米欧の市場で販売するためだ。販売台数(2016年12月〜2017年9月末)は、日本(10万4200台)と欧州(10万7600台)がけん引しており、北米が1万9000台である。

 C-HRのパワートレーンは、日本市場では前輪駆動のハイブリッド車(HEV)と4WD(四輪駆動)のガソリンエンジン車の2種類を設定。HEVは、プリウスと同様の1.8L直列4気筒(2ZR-FXE型)にモーター(1NM型)を組み合わせる(電池はニッケル水素)。エンジン車は、1.2L直列4気筒の直噴ターボ(8NR-FTS型)に7速手動モードを備えるCVT(無段変速機構)を組み合わせた。

 トヨタが欧州市場での販売を意識して開発した“ダウンサイジング”過給エンジンである8NR-FTS型エンジンの最高出力は85kW(116PS)、最大トルクが185N・mとなる。燃費(JC08モード)は、HEV仕様(前輪駆動のみ)が30.2km/Lであるのに対して、直噴ターボエンジン仕様(4WDのみ)は15.4km/L。車両質量はHEVが1440kgに対してエンジン車は1470kgと30kg重い。

 HEVは、車両質量が軽いことに加えてモーター走行の効果で、燃費がエンジン車よりも大幅に向上している。エンジン車は、アイドルストップ機能を備えないことも影響した。