Daimler社がEV(電気自動車)の投入に本腰を入れ始めた。2016年に、将来に向けたEVの新ブランド「EQ」を立ち上げるとともに、EVコンセプトカー「Generation EQ」を発表。2022年までに計10車種以上を投入することを明らかにした。商用EVではコンセプトカー「Vision Van」を発表。具体的な商品化の例として少量生産ながらEVトラックの「Urban eTruck」の販売を開始した。既に販売している小型車「Smart」には、新しいEVモデル「Electric Drive」を追加した。
EVブランド「EQ」の立ち上げ
2016年9月末に開催されたパリショーでDaimler社が披露したEVのコンセプトカーGeneration EQは、2017年1月に米国ネバダ州ラスベガスで開催されたCES2017では「Concept EQ」として展示された(図1、2)。
同社が立ち上げたEQ(Electric Intelligenceの意味)ブランドは、2020年代に向けたEVビジネスに核となるものであり、今後5〜10年で同社のEVを基本とした車種を展開することになる。同社はこのEVブランドによるビジネスに100億ユーロ(約1兆2000万円)を投資する予定である。
Daimler社がEVに注力するのは、同社のビジネスコンセプト「CASE」にも現れている。CASEは、駐車場予約などの顧客サービスに向けた外部との情報接続 (Connected)、自動運転 (Autonomous)、カーシェアリングなどのサービス (Shared)、電動化システム(Electric)を表現したもの。Mercedes-Benz Cars部門で展開している。
EQのデザインコンセプトは“ブラックパネル”と呼ばれる斬新なグリルデザインとともに、有機的なスタイリングを特徴とする。内装のデザインを見ると、独立4座のレイアウトを採用するとともに、前席のインストルメントパネルには非対称の24インチ(50×11cm)の大型ワイドディスプレーを備え、前席背もたれの裏面にもディスプレーが与えられた(図3)。