ドイツVolkswagen(VW)社が2016年6月に公表した、2025年までに電気自動車(EV)の世界新車販売台数をグループで300万台とする目標は、自動車業界に大きなインパクトを与えた。急速に電動化を進める中で、VWグループの高級ブランドAudi社は将来の自動運転技術の採用を見据えて、注目すべき電動コンセプトカーを相次いで公開している。今回は、Audi社の電動コンセプトカーや環境対応車の技術プラットフォームを見ていく。

電動化と自動運転技術の方向性

 Audi社は2017年9月のフランクフルトショーで、2台のEVコンセプトカーを公開した。完全自動運転(レベル5)を目指した4ドアクーペの「Aicon」、高度な自動運転機能(レベル4)を備えたSUV(スポーツ・ユーティリティー・ビークル)の「Elaine」である(図1)。いずれもVWグループの電動化プラットフォーム「MEB:モジュラー・エレクトリック・プラットフォーム」の採用が前提になっている。

図1 Audi社のコンセプトカー「Elaine」と「Aicon」
図1 Audi社のコンセプトカー「Elaine」と「Aicon」
2017年9月のフランクフルトショーに登場したAudi社の2台のコンセプトカー。「Elaine」(手前)と「Aicon」。Volkswagenグループは電動化プラットフォーム「MEB:モジュラー・エレクトリック・プラットフォーム」を打ち出しており、これらもMEBを採用すると見られる。Volkswagenブランドは既に2020年に電動車ブランド「I.D.」を用い、ゴルフクラスの「I.D.」と、VWバスを彷彿とさせる「I.D.Buzz」の量産化を発表している。さらに2025年までに世界で15車種もの異なる電動モデルを投入する。この方針の中でAudi社は2019年までに2タイプの電動プラットフォームを採用したSUVを市場投入する予定だ。
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 VW社は2020年に電動車ブランド「I.D.」として、ゴルフクラスの「I.D.」やVWバスを思わせる「I.D.Buzz」を量産化する計画であるのに対して、Audi社は先に述べたようにSUVを中心とした電動化プランを立てており、2018年にSUVタイプのEVを量産化する予定とし、第2弾として2019年にElaineを基本としたスポーツタイプの電動SUVを投入するとしている。