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日経エレクトロニクス 2016年1月号

Front-end

電池が駆動する時代の、競争力の源

  • 今井 拓司
  • 2015/12/18 00:00
  • 1/1ページ

出典:日経エレクトロニクス、2016年1月号、p.9(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 「電池がテクノロジードライバーになるって、どういうことですか?」。編集中の特集記事(記事)を読んで、思わず聞きました。長年、電子産業の牽引役だった「ムーアの法則」は半導体の集積度を高めることで、さまざまな機能をチップ上に実装可能にしました。電池容量の増加は電子機器の動作時間を延ばす効果こそあれ、機能強化の面では微細化技術の後釜にならないのでは。

 担当者の答えは明快でした。機器に使える電力が増えるだけ、新しい機能を盛り込めるのだと。確かにその通りです。性能とエネルギーが裏腹の関係にあるように、エネルギーの消費側と供給側も表裏一体の間柄。一方の進化は他方の成長に転化できるのです。絶え間ない前進が電子機器の至上命令だとしたら、電力の使い手側の進歩が一息ついた今、業界の推進力をエネルギーの供給源に求めるのは当然かもしれません。

 今後は「エネルギー主導」で開発が進むとしたら、メーカー間の競争の軸はどう変わるのでしょうか。電力の提供側、とりわけ電池では、新たな材料の取り扱いなど化学や物理の領域が勝負の舞台になりそうです。今号の特集記事が報じた、電池事業を再び強化するソニーの方針には本当に驚きました。同社は、難易度の高い電極材料に将来を託すことを明言しています。材料は日本企業の得意分野であるだけに、同社も含めた国内勢の反攻に期待が高まります。

 対する使い手側では、限りあるエネルギーを誰よりも効率良く使うことが一層重要になるでしょう。機能強化の奥の手としてFPGAが脚光を浴びるのも、この傾向と無縁ではありません(記事)。米Intel社などが打ち出すマイクロプロセッサーとFPGAの統合が進めば、従来はソフトウエアで実行していた機能をFPGAに実装することが普通になる可能性もあります。だとすれば機器メーカーには、回路設計に対する理解が今以上に求められるかもしれません。アナログ技術への目配りも含めて(記事)。

 未来はソフトウエアやサービスが全盛の時代になる。ずっとそう信じてきましたが、何やら風向きが変わってきました。差異化の源がハードウエア側に傾きつつある気がします。ハードが十八番の企業には追い風です。だからこそ、落とし穴にはご注意を。半導体や電池でさえ、後発勢に圧倒されたのはなぜなのか。「顧客ごとのカスタマイズが差異化要素」と語るソニーには、技術だけを突き詰める不毛さが、身に染みて分かっているようです。

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