2年に一度の東京モーターショーが2017年10月27日から11月5日までの10日間、東京ビッグサイトで開催されました。総入場者数は77万1200人と前回(81万2500人)から微減となりましたが、年齢別では15~39歳までの来場者が大幅に増加し、男女比が「4人に1人が女性」になるなど好ましい特徴がみられました。

  クルマ好きにとって東京モーターショーといえば、未来のクルマが集う垂涎のイベントであり続けてきました。過去を振り返れば、総入場者数が200万人を超えた時代の幕張メッセのすさまじい熱気や、一時乗用車・二輪車ショーと交互に開催された商用車ショーの落ち着いた雰囲気などは今でもよく覚えています。その記憶の中で、“過去の”未来カーをたどっていくと、第1に挙げたいのは「超ハイパフォーマンスカー」です。トヨタ自動車の「トヨタ 4500GT」や日産自動車の「MID4」など、市販こそされませんでしたが、デザインも含めて強烈な印象を残しました。また、「コミュニケーションカー」もありました。例えばトヨタとソニーが共同開発した「pod」は今話題の「セルラーV2X」のようにドライバーやクルマ(他のpod)とコミュニケーションがとれる未来カーでした。このように、未来カーに求められるキーワードはその時代に進化が期待された技術とともに変遷してきました。

  さて日経エレクトロニクスが今回の東京モーターショーで未来を感じたキーワードは、「電動化」です。ただし「電動化=電気自動車(EV)」ではありません。日経ビジネスのインタビューでトヨタ会長の内山田竹志氏は「電気自動車」と「電動化」についてこう答えています。「電気自動車というのはあくまで電動化の中の1つの選択肢だと思っています」(出所:日経ビジネスオンライン)。僭越ながら、まさに我が意を得たりという思いでした。

  今号の特集「クルマの電動化、『軽薄短小』モーターが急加速」では、モーターやインバーター、減速機からなる駆動システムにスポットを当て、東京モーターショーで披露された最新の動向を解説しました。もちろんクルマの電動化はこれで終わりではありません。次号の特集テーマは電池、それもトヨタ副社長のDidier Leroy氏が2020年代前半の実用化を目指して開発中であることを明らかにした全固体電池をフィーチャーします。さらにクルマ以外のモビリティー(移動手段)、例えば飛行機の電動化についても今後の記事化を予定しています。引き続きのご愛読をどうぞよろしくお願いします。