今号から編集長を務めることになりました加藤です。私にとって日経エレクトロニクスは古巣であり、約13年ぶりの復帰となります。

 いざ戻ってみると、進化の速いエレクトロニクス業界だけに、さまざまなスペックの向上には驚くばかりです。微細化は1桁以上進み、マイクロンやミクロンといった表記はもはやどこにも見当たりません。総合電機や半導体分野のプレーヤーも随分と数が減っていました。まさに浦島太郎の思いです。

 でも、変わらないことがありました。日経エレクトロニクスが先端技術の雑誌であり続けていることです。今号でいえば、特集の「欲しい材料は『波』で作る」や解説の「深紫外でLED大競争再び」をご覧ください。これらの記事で紹介している技術はどれもこれも一芸に秀でたもので、「簡単にはまねができない」、「すぐには追いつけない」という、まさに先端技術ばかりです。こうした先端技術を発掘し、丹念に取材して、エンジニアの皆様にわかりやすい表現で記事を書くというスタイルは不変です。それは日経エレクトロニクスのDNAであるからです。

 今号のインタビューで、この6月にパナソニックの代表取締役 専務執行役員に就任した樋口泰行氏に話を聞きました。樋口氏は約25年ぶりのパナソニック復帰ということでした。詳細はインタビュー(Innovator「ハード“単品”売りから脱却現場お役立ちの事業を作る」)をお読みいただくとして、特に印象に残ったのは「パナソニックが繁栄し続ける会社になるためには変わらなきゃいけない。(中略)変わるためには社内でずっと同じ経験をしてきた人だけでは限界がある。ただ全く新しい人でも駄目で、松下電器のDNAや文化を理解しつつ、新しい方向を考えることのできる人が必要と言われました。」という発言です。誠におこがましいことですが、自身の役割も「これだ!」と思いました。日経エレクトロニクスはDNAである先端技術をこれからも追究しつつ、新しい方向性を打ち出していきます。今後にご期待ください。(加藤)

 読者の皆様、これまで大変お世話になりました。この度、日経エレクトロニクス編集長を加藤に引継ぎ、大石は日経テクノロジーオンラインを含め、技術系デジタルメディアの拡大に努めてまいります。弊社の技術系デジタルメディアの中核は今後も日経エレクトロニクスが生み出すコンテンツと確信しております。加藤新編集長をはじめ、日経エレクトロニクスのデスク、記者と密接に連携しながら、今後も読者の方々に有益な記事をご提供していく所存です。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。(大石)