「日経エレクトロニクスの記事で最も重宝するのが、日本では名も知られていないベンチャー企業の製品を紹介してくれる特集記事なんですよ」。先日お話をしたある読者の方からこのように言われました。

  最近の記事を振り返ると、確かにそうした特集が数多く見つかります。2016年8月号の特集「音声対話が世界を揺るがす」では、音声認識・対話機能を備えた会話ロボットやチャットボットを多数ご紹介しています。2016年11月号の「主役交代 スマホからARグラスへ」では世界中で研究開発が進むAR(Augmented Reality)グラスの製品例、2016年12月号の「IoTの通信、BLE(bluetooth low energy)が独走」では、世界に40社以上がひしめく探し物/落し物発見用BLEタグの主要ベンダー一覧を表などでご紹介しています。2017年に入ってからも、同年3月号の「家電がクルマになる」で、“種の爆発”とでもいうべき、爆発的な開発ラッシュが続く超小型EVベンダーを世界の隅々から見つけて掲載しています。

  これらの特集を担当した野澤記者が企画会議で提案したのが、本号の特集「日本メーカーこそクラウドファンディング(CF)」です。野澤記者によれば、前述の特集記事で取り上げた、面白い技術を手掛けるベンチャー企業の大半がクラウドファンディングを活用しているとのこと。他にないユニークな製品を生み出すための大きなヒントがCFにあるのではないか、そうした問題意識から取材を開始しました。結論として導き出したのは、「日本メーカーこそCFを積極的に活用すべき」との主張です。取材して分かった1つのポイントは、資金集めを大きく超えた、顧客の本音を聞くマーケティング手法としてCFは極めて有効ということです。詳しくは誌面でご確認ください。

  もう1つ、是非お読みいただきたいのが、特集「どこでもAR」です。現実空間にイラストやコンピューターグラフィックス、文字などを重ねるAR。この市場はARグラスの登場により拡大が期待されていますが、ここにきて、プロジェクターを使って現実空間に映像を投射する「プロジェクションAR」の技術が急速に進化し始めました。近い将来、家庭や職場、自動車、工場などのさまざまな場所で活用できる「どこでもAR」の時代が到来しそうな勢いです。根津記者が最新の技術動向や採用動向をまとめました。ご一読いただけますと幸いです。