今号の日経エレクトロニクスでは、創刊45周年特別企画の第2弾として、特集「人工知能、超人間へのロードマップ」を掲載しています(記事)。記事の中身としては、2030年前後までを見据えたAIの技術進化を独自ロードマップとして提言しており、日経エレクトロニクスが強みとしてきた技術的な濃さとともに、従来にない内容に仕上がったと自負しております。そのために、今井編集委員が、AIをめぐる研究開発で世界の中心となっている米国シリコンバレーに飛び、多数の取材を敢行しました。今井編集委員いわく、日本にいては分からない程の急速なスピード感でAI関連の研究や事業が展開されているとのことです。

 さらに、今号では、AIに負けず劣らず、グローバル規模で研究開発競争が激化し始めた「全固体電池」を第2特集として取り上げました(記事)。日経エレクトロニクスでは2015年3月号で「全固体電池、10年飛び越し」というタイトルの特集を掲載しています(記事)。そこから約1年で再び全固体電池の特集となると、若干間隔が短いと見る向きもあるかもしれません。編集部内でも当然そうした意見がありましたが、実はこの数カ月の間に、投資面や技術開発面で大きな進歩があり、掲載を決めました。投資面では、2016年3月に、サイクロン掃除機などで有名な英Dyson社が全固体電池の研究開発に約1800億円を投じると発表。この金額は軽々に決断できる規模ではありません。きっと何かあるはず。そう考え、担当の野澤記者と三宅デスクが取材に回ったところ、2016年に入って技術開発面でも大きなブレークスルーがあり、なおかつプレーヤーが続々と増えていることが分かったのです。

 実はこの次世代電池でもシリコンバレーは大きな盛り上がりを見せています。応用側の企業が血眼になり新型電池を探しており、それに伴い、次世代電池のベンチャーが続々と産声を上げているとのこと。この第2特集では、シリコンバレー企業にも取材し、その技術動向を詳細に解説しています。

 AIと電池。今号で特集として取り上げた2つのトピックは、シリコンバレーで今最もホットな技術分野と一致しています。