「京都の電子部品メーカーはどうして強いんですか?」─。

 私は昨年夏まで、日本経済新聞社に出向しており、企業報道部という部署で、主に国内の電子部品メーカーの動向を京都支社などと連携して取材していました。その時に、新聞のデスクからよく聞かれたのが、冒頭の問いかけです。中国のスマートフォン(スマホ)市場の拡大や、クルマの電子化の波に乗って、村田製作所やTDKといった電子部品メーカーの連結売上高が、続々と1兆円を超えてきた頃で、特に京都系の企業の動きが注目されていました。

 中でも、企業買収など派手な動きが目立つのが、日本電産です。「売上高10兆円を目指す」という大目標や、永守社長の刺激的な発言がメディアの注目を集めやすい同社。しかし、技術開発面でも着々と「メガサプライヤー」への布石を打っているようです。今号では、センサーやパワーモジュールをウオッチしてきた根津記者が、米ラスベガスの展示会や、京都、そして長野県の諏訪地域など各地を回って日本電産の技術開発に迫りました(記事)。冒頭の質問に対する、我々なりの回答です。

 第2特集は、「IoT(Internet of Things)」です(記事)。大手IT企業や電機メーカーが、IoTシステムの構築を容易にするクラウドサービスを次々に発表しています。まずは遠隔監視などの用途から、さまざまなサービスが飛び立とうとしています。

 編集部内で特集タイトルを議論した結果、クラウドがIoTサービス構築の助けになるという意味で「お膳立て」と名付けました。この1月から編集部に加わった松元記者と、ストレージやソフトウエアの取材経験豊富な今井編集委員がタッグを組んでまとめています。

 さらに今号では、毎年スペイン・バルセロナで開催される移動通信分野の祭典「Mobile World Congress(MWC)」の現地レポートを掲載しました(記事)。以前は新型スマートフォンの発表の場という位置づけが強かったMWCですが、状況が変わってきたようです。もう一本の解説は、業界注目の「シャープ・Foxconn」の話題。シャープの発表を織り込んで、緊急解説記事として掲載しています。

 次号(2016年5月号)からは、日経エレクトロニクス創刊45周年企画が始まります。長年NEをお読みいただいている方へのインタビューや、話題の「AI(人工知能)」技術の最前線など、特集記事を掲載していく予定です。進化するNEにご期待ください。