老兵は死なず
 「てんてこ舞い」とはこのことです。取材先の方の一言はBreakthroughの本文(記事)で紹介しましたが、記者自身も人工知能(AI)の事業や研究の動きの速さに翻弄されっ放しでした。取材するはずの米ベンチャーが買収されて急遽日程が先送りになったり、コメントをもらった教授の所属がいつの間にかわっていたり…。1カ月ほどの間にも目まぐるしく変わる状況にAI開発の勢いを痛感しました。個人的には、本誌の特集記事を書くのは約8年ぶり。ひょっとすると前回よりも遅かった筆の運びに、AIに抜かれるのも時間の問題と覚悟を決めた次第です。(今井)

シリコンバレーで“電池戦争”が勃発
 物騒なタイトルで恐縮です。Breakthrough(記事)のために取材した米Zeptor社の創業者が開口一番に発した言葉です。ドローンや電気自動車といった応用が相次ぎ具体化し、同社がオフィスを構えるシリコンバレーでは応用側の企業や投資家が血眼になって新型電池を探していると言います。寿命や充電時間、容量などの点で、既存の電池は新しい応用機器の要望に応えられていません。一方、既存の電池を大量生産し、コストを一気に引き下げようとしているのもシリコンバレーの米Tesla Motors社。ここでは将来の社会を豊かにする“戦争”が始まっています。(三宅)

製造力でViveがリード
 当初、台湾HTC社のVR(Virtual Reality)用ヘッドマウントディスプレー(HMD)「Vive」だけでなく、米Oculus VR社のHMD「Oculus Rift」も分解して比べる予定でした(記事)。Oculus Riftは2016年3月下旬、Viveは同年4月上旬の発売だったからです。いずれも発売前に購入予約を受け付けており、私はいち早く申し込みました。にもかかわらず、4月中に到着したのはViveだけ。Oculus Riftは製造に遅れが出ているようで、5月上旬になってもまだ入手できていません。スマートフォンの製造で実績を積んだHTC社と、初めて製品を作るOculus社に、ものづくりの力量の差を感じました。(根津)