鉄道とIoT/ビッグデータの親和性
 今回の鉄道特集の取材で特に興味深かったのが、IoTやビッグデータの活用に積極的な鉄道事業者の姿勢です。よく考えたら鉄道自体が巨大なネットワークですし、日々の運行で膨大な量のデータが生み出されています。ある取材で聞いた「鉄道とIoT/ビッグデータの親和性は高い」という意見に納得してしまいました。枯れた技術のイメージが強い鉄道ですが、BtoBに注力するメーカーにとっては先端技術を育てる実証の場となりつつあります。私は来月号から「日経Automotive」の編集担当になりますが、今後も鉄道分野の技術動向に注目する必要がありそうです。 (中島)

iPhoneと有機ELとシャープ
 「iPhoneに採用」の報道で注目が集まった有機ELディスプレーの動向を取材しました(記事)。液晶から有機ELへの置き換えの議論は15年ほど前から続いていますが、世代交代はほとんど進んでいません。それが、iPhoneの採用で一変する可能性が出てきました。しかし、発端が米国企業の製品であることが残念でなりません。「キーデバイスを応用して特徴的な商品を生み出す。その商品がキーデバイスの進化を促す」。これは、かつてシャープが打ち出した「スパイラル戦略」ですが、こうした流れを生み出す日本企業が再び現れてほしいと思わずにいられません。 (田中)

CESで感じた部品メーカーの底力
 CESの解説記事でも取り上げましたが、日本の電機メーカーが低迷する一方で、部品メーカーの出展には勢いがありました(記事)。中でも、CES 初出展の日本電産は同社グループが手がけるさまざまな製品群を見せており、来場者の注目の的でした。印象的だったのは、国内外、企業の大小を問わず、手を組んでいること。例えば、触覚フィードバックを提示するハプティックデバイスでは日本のベンチャーであるミライセンスと、VR(仮想現実感)分野では台湾HTCと手を組んでいます。自ら新しい市場を切り拓こうという意気込みが伝わってきました。(根津)