暗闇でも昼間のように映せるカメラ(試作品)とイメージセンサー。(写真:タムロン)
暗闇でも昼間のように映せるカメラ(試作品)とイメージセンサー。(写真:タムロン)

 星明りよりも暗い0.003ルクスの照度の被写体をフルHD(1920×1080画素)のカラー画像として取り込めるカメラ技術をレンズメーカーのタムロンが開発した(図1)。ダイナミックレンジは140dBと広い。自社設計の2/3型CMOSイメージセンサーを使う。1画素の寸法は5μmと比較的大きい。配線層の裏面から光を取り込み高感度化するBSI(裏面照射)を使わず、あえて量産化しやすいFSI(表面照射)で実現した。2017年夏以降に商品化する。

図1 暗くてもまぶしくても鮮明に
図1 暗くてもまぶしくても鮮明に
試作カメラで撮影した画像。人の目では暗闇となる0.4ルクスで撮像した画像(左)と人の目で見たときのイメージ(右)。(写真:タムロン)
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 タムロンは、かつては携帯電話機向けレンズを、最近まではデジタルカメラ向け交換レンズを主力としてきた。「今後は自動車や医療機器、セキュリティー機器、産業機器など非民生分野での売り上げを伸ばす」(同社常務取締役の市川敬氏)。

 イメージセンシング技術ではソニーが先行しているものの非民生分野では民生分野ほど強くない。タムロンは、各画素の寸法を大きくしてコストよりも性能を重視し、ソニーなど先行メーカーとの差異化を図ろうとしているとみられる。加えて、外部リソースを有効活用して独自性を高める狙いがある。今回、センサー部と読み出し回路などの技術は、科学技術振興機構の支援を受けて静岡大学などと共同開発。量産には国内ファウンドリーを活用する。