オルタステクノロジーが2012年に開発発表した4K9.6型品
オルタステクノロジーが2012年に開発発表した4K9.6型品

 “怪獣”のごとく大きな投資余力を持つ企業同士の戦い。そんな風景が当たり前の液晶パネル業界でとても小さな、しかし発展性を感じさせる買収が決まった。凸版印刷傘下で小型液晶パネルを手掛けるオルタステクノロジーが、台湾Giantplus Technology(凌巨)社株式の54%を38. 4億台湾ドル(134.4億円)で購入する。行政認可は2017年3月末までに得る予定。 Giantplus社の連結売上高は108億台湾ドル(378億円、2015年12月期)と、オルタスのそれ(2016年3月期に166億円)より大きい。しかもGiantplusは非民生機器市場に集中することで売上高や利益率を高めていた。スマートフォンやタブレット端末向けの品種は全く手掛けていない注1)。2013年初頭にはマイナスだった四半期の粗利率は15%近くになった(図1)。オルタスは2021年3月期の売上高目標として600億円を掲げる。

注1)Giantplus社の用途別売上高比率はおおむね車載機器と製造設備がそれぞれ25%、POSレジが20%。民生機器のプリンターとデジタルカメラはそれぞれ10%にとどまる。Giantplus社の車載品種は主に、いわゆるライン納入品(非アフターパーツ)向け。
図1 粗利マイナスからの復活
図1 粗利マイナスからの復活
Giantplus社の粗利率はスマートフォン向け販売高がゼロになった2015年以降、大幅に向上した。
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