開発したイメージセンサー(写真:ソニー)
開発したイメージセンサー(写真:ソニー)
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 ソニーは、ADASや自動ブレーキ、自動運転などで用いるセンシングカメラシステムに向けて、新しいイメージセンサー製品「IMX324」を開発した。サイズは1/1.7型。画素数は約742万画素(水平3849×垂直1929画素)で、車載向けとして「業界最高の画素数」(同社)である。同画素で撮影できるフレーム速度は最大40フレーム/秒。

 この画素数とフレーム速度で撮影した場合、消費電力はおよそ500m〜600mWと低い。この消費電力は「業界最小」と同社は胸を張る。加えて、車載イメージセンサーとして「業界最高」(ソニー)の感度や、「業界初」(同)のセキュリティー機能を搭載する点も訴求する。

Mobileye製品と接続可能

 今回の製品は、イスラエルMobileye社の車載用画像認識IC「EyeQ4」や「EyeQ5」と接続できる。ティア1などの電装品メーカーが、今回のソニー製品とMobileye社の車載用画像認識ICを購入して組み合わせて、センシングカメラシステムとして仕立てることを想定する。

 Mobileye社はセンシングカメラシステムで大きな市場シェアを握るとされる。それだけに、同社のICにソニーのイメージセンサーを組み合わせることが標準となれば、ソニーの車載イメージセンサー事業はさらに成長する。その実現に向けて、今回の新製品の開発初期からMobileye社とコンタクトを取り、同社の要望を色濃く反映したという。

 ただし、Mobileye社の専用品というわけではない。同社が望んだ仕様は、車載センシングカメラの「共通仕様」(ソニー)なので、より広範なカメラシステムに使える。サンプル出荷は2017年11月、量産は2018年6月を予定している。

160m先の標識を認識

 新製品の画素数は、水平3849×垂直1929画素で、特に水平方向の画素数を増やした。同社の高感度の従来品「IMX224」に比べておよそ3倍である。水平方向の画素数を増やした理由は大きく2つある。1つは、より遠方にある物体を認識しやすくするためである。例えば、FOV(Field Of View)が32度のレンズと組み合わせた場合、約160m先にある標識を鮮明に撮れる(図1)。

図1 160m先の標識を認識
図1 160m先の標識を認識
ソニーは、新しい車載イメージセンサー製品「IMX324」を開発した。画素数は約742万画素(水平3849×垂直1929画素)と高い。特に水平方向の画素数を増やした。その結果、同社従来品(「IMX224」)に比べて、より遠方にある物体を認識しやすくなった。例えば、FOV(Field Of View)が32度のレンズと組み合わせた場合、約160m先にある標識を鮮明に撮れる水準である。(写真:ソニー)
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 もう1つは、より広範(広角)な画像を撮るためである。例えば、欧州で自動車アセスメントを手掛ける「Euro NCAP」では、自動ブレーキによる衝突回避の評価項目の対象として、自転車検知と衝突回避が2018年から加わる予定だ。歩行者に比べて自転車は高速に自動車の前を横切るので、より広い角度での撮影が求められる。

 だが、広角にするほど、1度当たりの画素数が減り、撮影できる画像がぼやける。そこで、水平方向の画素数を増やした。今回の水平画素数で、FOVが120度の広角レンズを組み合わせることを想定している。