「新しいモノが出てこない」「各社、横並び」――。こう言われ続けてきた日本の電機メーカーは旧来の姿から脱皮できたのか。2015年10月7~10日に幕張メッセで開催された展示会「CEATEC JAPAN 2015」では、新たな体制の息吹が感じられた。

 日立製作所、ソニーに続いて東芝も撤退するなど展示会の規模は今年も縮小したが、会場で人だかりができていた展示には各社の色が出ており、新鮮味があった。“テレビ一色”のような以前の展示会場の光景とは明らかに違う。「殻を破り、新たな事業領域を開拓したい」という、各社の意気込みが感じられた。注目株の展示を紹介する注1)

注1)各展示の詳細や他の展示内容は、日経テクノロジーオンラインのCEATEC JAPAN 2015 特設サイト(http://techon.jp/CEATEC/)を参照。

特徴ある展示に人が集まる

 注目の展示の多くはロボットやIoTの範疇に属するが、想定する用途はそれぞれ異なり、バラエティーに富んでいた。

 「1人1台ポケットにロボットを」というメッセージを掲げたのがシャープである。スマートフォンとロボットを融合させた携帯型ロボット電話「RoBoHoN(ロボホン)」を展示した(図1(a))。2016年前半に発売する。ロボホンは、同社が発表したビジョン「AIoT(Artificial Intelligence of Things)」に基づく、人工知能を備えた製品群の1つである。音声認識技術を使った音声対話機能を備え、さまざまな質問に回答できる。他のAIoTの例として、音声対話機能を実装した冷蔵庫やオーブンなども展示した。

図1 CEATEC JAPAN 2015で人だかりができた展示の例
図1 CEATEC JAPAN 2015で人だかりができた展示の例
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