産業技術総合研究所は、生分解性材料に印刷技術を使って電子配線を形成する技術を米University of California,San Diego(UCSD)と共同で開発した。

 錠剤から植物の種子まで、あらゆるモノの情報を取得する「トリリオンセンサー」向けに、大量生産と低コストを両立できる製造技術として印刷に着目した。さらに錠剤や食品にセンサーを内蔵したり、医療分野に応用したりする場合に、体内に入れると溶けて体外に排出されるようにする必要があるとみて、今回、生分解性材料へ印刷技術を適用した。

型に揮発性インクを流し込む

 開発した印刷技術は、インクと型を組み合わせている。例えば、配線を基板上に形成する場合、導電性材料のインクを型に流し込む。一般には、型にインクを流し込んでも隙間なく入り込まないことがあったり、型からきれいに剥がれなかったり、という課題がある。

  そこで今回は、インクと型に工夫を凝らしている。インクは揮発性で、揮発したガスが型から抜けるようにした。型には、液体は通過せず、気体は通過する材料を採用した。この結果、インクがメニスカス力で型に入り込むと、インクが揮発してガスが抜けるのに伴って、吸い込まれるように型に入り込む。これで前述の課題が生じないようにできるという。主に、UCSD教授でJacobs School of Engineering DeanのAlbert P.Pisano氏が開発した1)