しばらくの間微細化が停滞していた、不揮発性メモリーの一種であるSTT-MRAM(Spin-Torque Transfer Magneto-resistive Random Access Memory)に大きな進展があった。STT-MRAMの最小単位は、トランジスタ1個とMTJ(Magnetic Tunnel Junction)1個の組みから成る。そのMTJの直径をそれまでの40~50nmから、一気に10nm台にした例が相次いで出てきたのである。
MTJの微細化を進めたのは米IBM社と韓国Samsung Electroncs社で構成するIBM-Samsung MRAM Alliance、そして東芝だ(図1)。2016年4月には、Samsung社 President & General Managerで、System LSI/Semiconductor Business Device Solutions DivisionのKinam Kim氏が、「STT-MRAMとReRAMの実用化に向けて間もなく準備が整う」と発言したという報道もあった。STT-MRAMに対する半導体業界の期待が再び高まってきた。