2017年6月に発表された世界のスーパーコンピューターの性能ランキング最新版で、エネルギー効率の高さを比較する「Green500」の1位から4位を日本勢が独占した(図1、表1)。7位と8位も日本製で、10位以内の過半数を占める活躍ぶりだ。
目を引くのは、1〜4位のスパコンのどれもが初登場で、いずれも人工知能(AI)を主要な用途に掲げていることだ。トップの東京工業大学の「TSUBAME3.0」はAIに加えて従来の科学技術計算での利用も多いと見るが、2〜4位は基本的に人工知能専用とみなせる。2位につけたヤフーの「kukai」は、今後の深層学習(ディープラーニング)の応用の広がりを想定して独自開発したもの。3位の産業技術総合研究所の「AIST AI Cloud(AAIC)」は傘下の人工知能研究センター(AIRC)、4位の理化学研究所の「RAIDEN GPU subsystem」も同研究所の革新知能統合研究センター(AIP)がそれぞれ活用する。
AI向けスパコンが省エネルギーランキングで上位を占める理由の1つは日本の電力事情にある。海外と比べて相対的に高いとされる電力料金をなるべく抑制するために電力効率の高いスパコンを開発した格好だ。