「富士通フォーラム2016」の会場で、富士通 代表取締役社長の田中達也氏(右)に液浸冷却システムを紹介するExaScaler代表取締役会長の齊藤元章氏(左)。
「富士通フォーラム2016」の会場で、富士通 代表取締役社長の田中達也氏(右)に液浸冷却システムを紹介するExaScaler代表取締役会長の齊藤元章氏(左)。

 富士通は、サーバー機を液体に浸して冷却する技術を用いることで、データセンターの消費電力を30%以上削減し、サーバー機の設置面積を1/3以下にできることを確認した。2017年度にかけて、この技術の実サービスへの採用を検討する。まずは社内向けのクラウドサービスが対象だが、他社向けのクラウドサービスやデータセンター構築などへの適用も視野に入れている。

目標通りの効果を確認

 液浸冷却に使う技術は、ベンチャー企業のExaScalerが開発したもの。富士通は、傘下のベンチャーファンドを通じて2015年6月にExaScalerに出資し、技術の評価を進めてきた1)。富山県富山市にあるデータセンターに液冷サーバーを設置し、4000台程度の仮想デスクトップ環境を動作させて、空冷方式のサーバー機を使う場合と比較。空冷方式よりも冷却の効率が高いため、当初から大幅な削減目標を掲げ、実現の可能性を検証した。

 この結果、設置面積は見込み通りだったのに対し、消費電力は想定した目標の40%減には届かなかった。ただし、液体の冷却に使う装置(チラー)を自然空冷に替えるといった工夫で、40%減は実現可能と見る。実際ExaScalerは、液体冷却用の冷媒を電力を使わずに循環させて外気で冷やすといったアイデアを提案している2)