ソニーは人型ロボット「QRIO」で培った技術を新型人工知能の開発に生かす。
ソニーは人型ロボット「QRIO」で培った技術を新型人工知能の開発に生かす。

 自らの興味に従い、新たな情報を貪欲に獲得し、実世界の中で止まることなく成長していく人工知能(AI)。多くの研究者が究極の姿とみなすAIの実現を目標に掲げたのがソニーである。同社は2016年5月に、AI技術を開発するベンチャー企業の米Cogitai社への出資を発表。ソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL)を交えた3社の共同研究で、この難題に取り組む(図1)。

図1 自律的に成長する人工知能を共同開発
図1 自律的に成長する人工知能を共同開発
ソニーは出資先の米Cogital社、Cogitai社のアドバイザーと言えるグループ「Brain Trust」、研究開発子会社のソニーコンピュータサイエンス研究所と共同で、環境とのやりとりを通じて継続的に学習することで、自律的に成長する人工知能の開発を目指す。
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 ソニーらは、遠い将来を目指した基礎研究を進めるわけではない。「(共同開発を手がける)ソニーの中長期事業開発室のミッションとしては、3年くらいでものを出す必要がある。いくつかの展開を考えている」(ソニーコンピュータサイエンス研究所(CSL) 社長の北野宏明氏)。ただし、壮大なビジョンを実現したAIがいきなり登場するわけではなく、個別の要素技術を順次、製品に組み込んでいくもようだ注1)。ソニーは明言しないが、ロボットやソフトウエアエージェントなどに応用する可能性がある。

注1)開発する技術を、例えばユーザーにコンテンツを勧めるレコメンデーションシステムに応用した場合は、AIの成長とともに、より細かいカテゴリーでの分類が可能になったり、音楽だけではなく映画も勧められるようになったりするという。