AI技術を用いた新サービスでの提携を発表するフジテレビジョン 常務取締役の大多亮氏(左)と日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏
AI技術を用いた新サービスでの提携を発表するフジテレビジョン 常務取締役の大多亮氏(左)と日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏
[画像のクリックで拡大表示]

 放送事業者や動画配信事業者によるAI(人工知能)の活用が本格化している。目立つのは、コンテンツ制作の効率向上や、視聴環境に合わせた適切なコンテンツの提供にAIを応用する取り組みだ。

 例えば、動画配信大手の米Netflix社は、スマートフォンやタブレット端末向けの配信に用いる動画圧縮技術にAIを応用する。米国の報道によれば、動画のシーン情報をAIで解析し、内容に応じてビットレートを変更する技術を欧米の大学と共同開発しているという1)。データ通信速度が遅くても品質を落とさずに動画を配信するための技術だ。

 AI技術の開発企業による動画関連サービスの拡充も相次ぐ。2017年3月には、米Google社がAIを用いた動画認識を実現するクラウドサービス「Video Intelligence API」を発表。同年4月には米IBM社が、動画の内容を自動認識するメディア企業向けのクラウドサービスを同年内に提供開始すると明らかにした。

 日本では、民放キー局がAI活用に乗り出した。フジテレビジョンや日本テレビ放送網が新たなサービスのカギとなる技術として、AIに大きな期待を寄せている(表1)。

表1 コンテンツの提供拡大のためにAIを導入する放送・動画配信事業者の例
表1 コンテンツの提供拡大のためにAIを導入する放送・動画配信事業者の例
[画像のクリックで拡大表示]