パネルを使わず絵を表示する新型“ディスプレー”の提案が、三菱電機とNTTから相次いで登場した。
三菱電機は、56型(幅886mm×高さ1120mm)と大型の映像を空中に表示できる空中ディスプレーを開発し、2016年2月に開催の「研究開発成果披露会」で披露した。特徴は、空中の映像を見ている人が映像の中を自由に通り抜けられること。同社は、デジタルサイネージやアミューズメント、案内標識などの用途を想定しており、2020年度以降の実用化に向けた開発を進めている(図1)。
これまでにも、テーブル状の物体の上に映像を浮かべられる空中ディスプレーはあった。手を伸ばして、空間に浮かんだ映像を触ったり、映像を腕で突き破ったりするような感覚が得られるデモンストレーションの事例もある。しかし、この場合は映像の真下にテーブル状のシステムがあるため、人が歩いて映像の中を通過することはできない。
一方、劇場用などで、人間と同程度の大きさの映像を表示できる空中ディスプレーもある。このようなディスプレーを使い、舞台上の空間にアーティストのバーチャル映像を表示したライブが行われたりしている。この場合は、舞台上にいる人は空中の映像を通り抜けたりできる。しかし、観客席側の人は空中の映像に近づくことができない。舞台と観客席の間にハーフミラーがあり、舞台と観客席の間が物理的に隔てられているためだ。