半導体CNTと半導体ポリマーの複合体の写真とトランジスタ構成例（図と写真：東レ）
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東レは、塗布型半導体の電子移動度を世界最高水準の81cm2/Vsに高める製造技術を開発した（図1）。920MHz帯のRF IDタグの無線回路に使え、安価な印刷工程により既存品に対して桁違いの低価格化が見込める。早期の実用化を経て、2020年ごろに普及させる狙いだ。フレキシブルディスプレー、薄膜太陽電池、バイオセンサーへも応用していく。
図1 有機半導体の数倍の移動度を実現
開発した手法と既存の手法とで電子移動度を比較した。（図：東レ）
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今回の技術を使うと、印刷工程のみで920MHz帯RF（無線周波）信号を処理する回路（例えば整流回路）が実現できる。920MHz帯にはユーザーが無免許で利用できる帯域があり、既にこの帯域を使うRF IDタグは既存のICを使って実用化されている。数m離れた無線リーダーから、商品などに付けたRF IDタグに電波を発し、IDなどの情報を含んだ信号を同じ920MHz帯の電波で返す。タグ側に電源は不要で、リーダーからの電波のエネルギーを生かす。単価は「10～15円とまだ高い」（同社）という。小売りや物流の業界でニーズの強い使い捨てにできる用途は限られる。
東レは、RF IDタグの単価を大規模量産時に1円未満に引き下げ、ほとんどの商品で使い捨て可能にしていく。RF IDタグが“印刷”されたフィルムを商品の包装に使う応用が考えられる。印刷には現時点でインクジェットを使う。
