黄土色(橙色)の点と線はスーパーコンピューターの性能ランキング「TOP500」の1位の性能推移で、青の点と線がPEZYグループの実績(下側)と計画(上側)(画像:PEZYグループ)
黄土色(橙色)の点と線はスーパーコンピューターの性能ランキング「TOP500」の1位の性能推移で、青の点と線がPEZYグループの実績(下側)と計画(上側)(画像:PEZYグループ)
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 スーパーコンピューター世界一の座を日本に取り戻す。この野望に向けて、ベンチャー企業のPEZYグループが動き出した。

 まずは国内首位の性能をうかがうスパコンを素早く立ち上げ、早ければ2017年6月に発表される全世界のスパコン性能ランキング「Top500」で上位入賞を目指す。その先に見据えるのが世界首位の獲得、さらには世界初の1Exa FLOPS機の実現である。この構想を現実にするには、数百億円規模の資金の確保と、ソフトウエアの充実が必要になりそうだ。

磁界結合技術で高速化

 2017年1月、PEZYグループの1社でHPC(High Performance Computing)システムを手掛けるExaScalerのスパコン開発プロジェクトが、科学技術振興機構(JST)の「産学共同実用化開発事業(NexTEP)」の新規課題として採択された。開発期間は2017年12月までで、供与される開発費は未公表。開発費の上限は、制度上は原則50億円だが、案件ごとにそれを超える場合もあるという注1)

注1)NexTEPは、大学発の技術に基づく、リスクが高い大規模な開発を支援する事業。開発が成功した場合は費用の全額返済が必要だが、失敗すると10%の返却しか求めない。ただし失敗した場合は、開発の成果や、元になった技術を将来にわたって使用できなくなる。開発の成否は、事業として成立するために必要な技術上の要件(性能や特性の値など)を案件ごとにあらかじめ設定し、それに照らし合わせて判断する。